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紙おむつ・軽失禁について

ここでは「紙おむつ」の使い方や処理方法等の知識から、安全・環境への取り組みまでQ&A形式でご紹介致します。

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紙おむつ・ライナーの生産統計  
 
 
紙おむつの歴史

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綿布不足から生まれた乳幼児用紙おむつ
 

  ドイツに経済封鎖されたスウェーデンでは、1940年代半ばには綿花の輸入が止まり、極端な綿布不足となり、赤ちゃんのおむつを作ることができなくなりました。スウェーデン政府は、おむつを綿布から紙に移行するよう指導し、そこで考案されたのが紙おむつでした。
吸水性のある紙を何枚も重ね、外側をメリヤスの袋で覆った簡単なものでしたが、使い捨てができ洗濯の必要もなかったのです。実際に使ってみると、取り替えが簡単で吸水性も布おむつと遜色がなく、十分に代用品の役割を果たしたといわれています。
やがてこの紙おむつは、吸収紙を防水シートでカバーする形に改良されながら、北欧やヨーロッパ各国へと広がりました。この紙おむつの形は、いまでも「ヨーロッパスタイル」として改良が重ねられ、使用され続けています。戦後、アメリカに渡った紙おむつは、多くの工夫と改良が加えられ、布おむつの代用品の域を脱し普及していったのです。
 

 
代用品の時代が続いた日本
 

  日本では昭和20年代後半に初めて紙おむつが発売されています。しかしこれは紙綿を重ね布で包んだだけの物で、おむつカバーがなければ使用できませんでした。紙おむつは外出時や、雨で洗濯できない時などに限って使用される程度でした。
1962年(昭和37年)、紙おむつより一足早く乳幼児用ライナーが発売されました。当時は電機洗濯機が普及しつつある時期でしたが、おむつは下洗いをして便を取り除いてから洗濯機に入れるという手間が必要でした。そこで重宝だったのが布おむつの内側に敷く紙綿製のライナーでした。
水分を通して固形物のみ通さないライナーは、便だけがライナー上に残ります。それを捨てるだけで下洗い無しで洗濯ができたのです。しかし、当時の世帯収入から見ればまだまだ高価で、しかも使い捨ての習慣がない時代でもあり、広く普及するには至りませんでした。
1963年(昭和38年)、赤ちゃんの肌に触れる部分には不織布が使われ、外側には防水紙が採用された、今日の紙おむつの構造と機能を持った最初の本格的紙おむつが発売されました。形は布おむつに似て長方形で、おむつカバーと併用するフラット型で値段は10枚入りで380円でした。発売の翌年、日本航空の国際線常備品に採用されました。
 

 
テープ型紙おむつの登場
 

  1977年(昭和52年)、アメリカから乳幼児用の紙おむつが輸入・発売されました。立体裁断された紙おむつは、腰の部分2ヵ所をテープで止めるだけで、おむつカバーとおむつの両方を兼ねてしまう、テープ型という新しい形でした。1981年(昭和56年)国産のテープ型紙おむつも発売されました。
この頃の世帯当たりの消費支出は1ヵ月約20万円。働く女性の数も1975年(昭和50年)には1,170万人に、1980年(昭和55年)には1,350万人と増加していきました。当然働く母親も多くなり、家事の省力化が必要な時代に入っていたのでした。お母さんたちは「家事労働時間を減らせるもの」としてテープ型の紙おむつに注目していたのでした。
 

 
高分子吸水材で飛躍的に性能向上
 

  当時の紙おむつは、肌に接する「表面材」、尿を吸収する紙・パルプ主体の「吸収体」、おむつカバーの役目をする「防水材」の3つで構成されていました。
「表面材」には、水分を吸収せず尿を吸収体に通過させやすいポリプロピレン製の不織布が使われていました。「吸収体」は、尿をすばやく吸収する吸収紙と綿状パルプで構成されていました。カバーの役目をする「防水材」にはポリプロピレンなどのフィルムが使われています。
1984年に紙おむつの性能を飛躍的に向上させる、画期的な新製品が登場しました。高分子吸水材が紙おむつに採用されたのです。高分子吸水材は、高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、略してSAP) と呼ばれ、1974年(昭和49年)に米国で開発されました。ほんどがポリアクリル酸塩で、白色~淡黄色の無臭の粉末です。
高分子吸水材の最大の特長は高い吸水性と保水性です。純水で自重の200~1000倍、尿の場合でも30~70倍と、極めて高い吸水能力を持っています。また、高分子吸水材が一度吸水した水分は、外から多少の圧力がかかってもほとんど放出しないなど、高い保水力も併せ持っています。
この高分子吸水材を採用によって吸水性能が飛躍的に向上した結果、
 

 
1. 吸収体(綿状パルプ)の使用量が少なくてすみ、紙おむつが薄く、コンパクトにできた。

2. 尿もれ・尿の肌への逆戻りも大幅に改善した

3. 購入時に持ち運びが容易になり、ごみに出される容量も大幅に減らした

4. 装着感が向上し、赤ちゃんが動きやすくなった
 

  など多くのメリットをもたらしたのです。
高分子吸水材の採用で紙おむつの性能が向上した結果、取替え回数が減り、1982年〈昭和57年〉に1日平均7.7枚使用していたものが、高分子吸水材を使った紙おむつが普及した1990年(平成2年)には、1日の使用枚数5.5枚へと減少しています。
 

 
パンツ型紙おむつの登場
 

  1990年(平成2年)年代に入るとそれまでのテープ方やフラット型に、新しくパンツ型が登場しました。下着のパンツのように一体成形した形で、立ったままはかせることができ、テープ型のようにかさばらないのが特長です。
そのほかにもパンツ型の紙おむつは、おむつ離れの時期を迎えた幼児用のおむつ離れを促すものや、排尿告知ができるようになった幼児が、おねしょ防止のため寝るときだけに使用するものなど、異なる目的の製品も作られています。
ライナーやフラット型からスタートしたわが国の乳幼児用紙は、今日に至ってテープ型にパンツ型を加え、使用する乳幼児の成長過程、それぞれのニーズに合わせて、最適のものが選択できるようになりました。
 

 
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紙綿を重ねた初期の「フラット型紙おむつ」
 

  昭和30年代の後半の大人用紙おむつは、紙綿(クレープ紙)を15~20枚重ね、外側を防水紙で覆い、肌に当る部分には不織布を使用したものでした。
大きさは幅28~33cm、長さ55~65cm。布おむつと同様におむつカバーと併用するフラット型でした。吸収体がクレープ紙であるために尿が吸収されやすく吸水性は問題ないものの、保水性が低いために紙おむつを5~6枚を重ねて使い、その上からおむつカバーを使うというものでした。
一般にはなじみのが薄く、もっぱら病院を中心に使用されていましたが、当時の病院では布おむつが中心でした。紙おむつの使い方も布おむつと同様に、5~6枚の紙おむつを重ねて、その上からおむつカバーをしていました。
1974年(昭和49年)、クレープ紙の吸水体に代わって粉砕パルプ製の製品が登場しましたが、おむつカバーと併用するフラット型が中心であることは変わりありませんでした。
 

 
1枚で足りる「テープ型紙おむつ」の登場
 

  1983年(昭和58年)に大人用では初のテープ型大人用紙おむつが発売されました。乳幼児用と同様の構造で、腰部の左右のテープを止めるだけで、おむつカバーなしで使用することができます。テープ型紙おむつは、使いやすさから高齢化社会の到来を目前に、在宅のおむつ需要者にも使用されるようになりました。
続いて1984年(昭和59年)に高分子吸水材を使用した製品が開発されました。これによって、排尿量が多い大人でも1回の排尿を1枚の紙で吸収できるようになりました(高分子吸水材は、現在のフラット型にも採用されています)。
 

 
高齢者の排泄自立を促す「パンツ型」
 

  1994年(平成6年)大人用紙おむつにパンツ型が登場しました。一体成形され下着のようにはく形式の“紙でできたパンツ”そのものです。
フラット型、テープ型が介護人が装着することが前提であるのに対し、パンツ型は被介護者が自ら装着することができる製品です。排泄ケアという役割を超えて、高齢者の人格ある自立への意欲を刺激する、本格的高齢社会に対応した「高齢者の排泄自立」というテーマを持っているのが特長です。
 

 
経済性と交換の手間を省く「補助パッド」
 

  いま、尿吸収だけを目的とする補助パッド類の生産量が大きく伸びています。紙おむつと同様の尿吸収力を持つ補助パッドは、紙おむつと併用すれば、尿を吸収した補助パッドだけを交換するだけですむ、という機能を持っています。紙おむつよりも低価格であるために経済的で、同時に、紙おむつを交換するより簡単で、介護労力が軽減できるというメリットも持っています。  

 
年表・紙おむつの歴史
 
 
年代 乳幼児用紙おむつ 大人用紙おむつ
1940年代 スウェーデンで考案される  
1950年頃 紙おむつ誕生  
1962年
(昭和37年)
布おむつの中に敷くライナー発売 クレープ紙を重ねたフラット型誕生
1963年
(昭和38年)
肌に触れる部分に不織布、外側には防水シートを使った紙おむつ発売  
1974年
(昭和49年)
  粉砕パルプ100%の製品
1977年
(昭和52年)
テープ型紙おむつ発売  
1983年
(昭和58年)
高分子吸水材採用の紙おむつ発売。吸収性能が向上し、1日の使用枚数7.7から5.5枚に減少 テープ型紙おむつ発売
1984年
(昭和59年)
  高分子吸水材採用の紙おむつ発売。1回の排尿を1枚の紙おむつで吸収し、布おむつの性能を凌いだ発売
1990年
(平成2年)
おむつ離れトレーニングパンツ発売  
1991年
(平成3年)
パンツ型紙おむつ発売  
1994年
(平成6年)
  パンツ型紙おむつ発売