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紙おむつ・軽失禁について

ここでは「紙おむつ」の使い方や処理方法等の知識から、安全・環境への取り組みまでQ&A形式でご紹介致します。

  • 幼児用おむつ編
  • 大人用おむつ編
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環境安全性のQ&A

 
Q. 使用後の紙おむつの処理はどのようにされているのでしょうか。 一覧へ戻る

  家庭で使用された紙おむつは、一般廃棄物として自治体の清掃事業の一環として収集され処理されています。日衛連が全国の自治体を対象に調査した結果では、ほとんどの市区町村が可燃物として収集し焼却処理しています。

一方、介護施設など事業所から出る使用済み紙おむつは、事業系一般廃棄物として自治体または一般廃棄物収集業者が収集し、焼却処理しています。

また、病院など医療行為を伴う施設から出る紙おむつは、平成16年に環境省が定めた「改正感染性廃棄物処理マニュアル」に基づいて感染性と非感染性に区分され、非感染性の紙おむつは事業系一般廃棄物、感染性の紙おむつは特別管理一般廃棄物として、いずれも焼却処理されています。
 

 
Q. 使用済み紙おむつを焼却処理すると焼却炉をいためませんか。 一覧へ戻る

  紙おむつの焼却カロリーは使用前で、5,000~5,500kcal/kg、使用後の水分を含んだ状態で1,300 ~1,800kcal/kg(含水量によって変動します)であることが、東京都清掃研究所の調べや当連合会の焼却テストで確認されています。

東京23区を例にとれば、家庭から排出される可燃ごみの焼却カロリーは2,000~2,100kcal/kgであるのに対して、水分を含んだ使用済み紙おむつは1,300~1,800kcal/kgと下回っています。

したがって、使用済み紙おむつを焼却することで焼却炉をいためる心配はないと考えます。
 

 
Q. 高分子吸水材は燃えるのでしょうか。また、有毒ガスが発生するのではないでしょうか。 一覧へ戻る

  高分子吸水材を燃焼すると炭酸ガスや水などは発生しますが、有毒ガスは発生しません。  

 
Q. 焼却処理は森林資源の無駄使いになりませんか。 一覧へ戻る

  我が国が進めている循環型社会の構築は、限りある資源を有効に使い、地球環境の保全を図ることを目的としています。紙おむつに使用されているパルプは、計画的な植林により管理されている針葉樹が原料です。しかも、針葉樹の間伐材や枝打ち材なども有効利用しています。一部報じられる熱帯雨林の乱伐採とは関係ありません。  

 
Q. 焼却をした場合ダイオキシンの発生が心配です。 一覧へ戻る

  一般的に焼却処理によりダイオキシンが検出される場合とは  

 
1. 焼却するものにダイオキシンとなる可能性のある成分(塩素基を有する物質)が含まれている場合

2. 焼却方法や焼却炉の種類などの焼却条件による場合

3. 既に大気中にも極微量のダイオキシンが存在する場合
 

  の3つがあります。
したがって、紙おむつを焼却すると、焼却条件によってはごく微量ですがダイオキシンが発生する可能性があります。

1.の場合では、一般家庭ごみと紙おむつとが一般廃棄物として混焼されることにより、塩素基を含んだ何らかの家庭ごみからダイオキシンが発生します。紙おむつ自体には塩素基を含有する成分は使用されていません(平成10年 日衛連実験による)。

2.の場合では、平均して800℃を越える連続運転で完全燃焼を行えば、上記1.同様に一般家庭ごみと紙おむつとが混焼されても、ダイオキシン発生は最小限に抑えられ、その後に焼却ガスを処理することで、発生量は極微量にできます。
日衛連では、焼却によるダイオキシンの発生量を確認するために、1998年(平成10年)4月、独自に使用済み大人用紙おむつを使って焼却実験を行いました。その結果、排気および焼却残灰中のダイオキシン量は、いずれも厚生省(当時)が定めた廃棄物焼却炉のダイオキシン規制基準値を大幅に下回る結果を得ています。

また、3.の場合では、日衛連の焼却実験の際、焼却炉を空のまま燃焼させた結果、微量のダイオキシンが検出されています。すなわち、大気中にも既に極微量のダイオキシンが含まれていることがわかりました。
 

 
厚生省(当時)の廃棄物焼却炉のダイオキシン抑制基準値
 
 
焼却能力 新設炉
ng / m3N
既設炉 ng / m3N
2002年11月30日まで 2002年12月1日以降
4トン/h以上 0.1 80 1
4トン/h未満2トン/h以上 1 80 15
2トン/h未満 5 80 10
ng/m3N:1立方メートル中のナノグラム(10億分の1g)
 

 
Q. 原料パルプにはダイオキシン発生の原因の一つとなる塩素漂白は行われていますか。 一覧へ戻る

  紙おむつの原料に使用されるパルプは、そのほとんどが米国およびカナダから輸入されています。これらの国々では1998年までに紙おむつ用途のみに限らず全てのパルプの漂白方法は、従来の塩素ガスを使用する方法から無塩素漂白法(ECF)に移行を完了しています。

ECF法は塩素ガスの代わりに二酸化塩素を用いるため、漂白時の不要な副産物であるダイオキシン、フランやその他の有機塩素系化合物などの発生を大幅に削減できます。この漂白方法は、米国環境保護庁(EPA)による数年にわたる研究の結果、「他の経済的に実行可能な技術よりも大きな環境保全上の利点をもたらす」と判断された方法であり、メーカーにとって「利用可能な最高の技術」と指定されています。
 

 
Q. 使用済み紙おむつを埋め立て処理してはいけないのでしょうか。 一覧へ戻る

  わが国のごみ処理は焼却処理が中心で、一般廃棄物の約75%が焼却処理されており、使用済み紙おむつは95%以上の自治体が“可燃ごみ”として収集し焼却処理しています(日衛連調査 2001年)。したがって、通常は焼却処理される可能性が極めて高いといえます。

埋め立て処理した場合、尿及びパルプ・吸水紙等は長い年月の間に土中の微生物により分解されますが、石油原料由来の防水フィルムや不織布、高分子吸水材などは分解せず、そのまま土中に残ることになります。
 

 
Q. 紙おむつはリサイクルできないのでしょうか。 一覧へ戻る

  使用済み紙おむつのリサイクルは、幾つかの市町村で試行されています。
しかしながら、紙おむつは、 新聞、雑誌等のような単純な紙製品とは異なり、
 

 
1. 紙の原料であるパルプ以外に複数の石油由来の素材から構成されていること。

2. 衛生面を含めると、使用後の紙おむつから安心して使える素材として取り出せないこと。
 

  などの理由から、ほとんどの市町村では一般廃棄物の燃焼ゴミとして収集し、焼却処理されています。  

 
Q. いくつかの方法が試みられているのに、紙おむつがリサイクルできない理由は何でしょうか。 一覧へ戻る

  使用済み紙おむつは一度し尿が付着したために、単に紙おむつを素材別に分離するだけでなく、薬剤を用いた消毒・滅菌等の処理工程が必要になります。また、パルプは再生する毎に繊維が短くなり、その結果バージンパルプと比較し再利用した場合には吸収性能が劣化します。将来、技術的な改善が図られる可能性も考えられますが、現状では採算性や性能の点で課題が残っているといえます。

他にもパルプを堆肥化して肥料を作る技術も研究されていますが、これも採算性や堆肥としての品質面に課題が残されています。
リサイクルをするために多くの新たなエネルギーを消費することや、衛生面・製品性能等や環境などを考慮すると、現時点では決して有効な手段とは考えておりません。
 

 
Q. 紙おむつのパルプには、回収した牛乳パックなど、古紙を使わないのですか。 一覧へ戻る

  従来は、乳幼児用を中心に安全衛生上の観点から、バージンパルプ・バージン紙が使用されてきました。平成6年6月、資源の有効利用の観点から再生パルプ・再生紙であっても、当連合会で定める「紙おむつ自主規格(材料)」に合格する安全性・衛生性が確かめられたものであれば使用できるよう規格が改正されました。  

 
Q. 今後も、紙おむつのリサイクルは進まないのでしょうか。 一覧へ戻る

  現在、使用済み紙おむつを効率よく回収できるインフラを有する幾つかの自治体において使用済み紙おむつを、  

 
1. 塩化カルシウム水溶液で高分子吸収剤を無力化し素材を粉砕した後、各々を分別し建築資材、土壌改質材 等にリサイクルする技術

2. 粉砕しながら発酵処理することで無臭化し、固形燃料としてリサイクルする技術

3. パルプを堆肥化して肥料を作る技術
 

  などが開発されています。
いずれも、使用済紙おむつの合理的な分別回収の方法、取り出した素材の品質及び価格といった解決する課題が多くあります。従って、合理的な回収ができる立地条件や地域全体として活用先を確保できる市町村で実験的に採用されていますが、技術的に大幅な改善が待たれます。
「循環型社会形成推進基本法」では、リデュース(Reduce=廃棄物の減量)、リユース(Reuse=部品など の再利用)、リサイクル(Recycle=資源の再利用)と共に、熱回収(サーマルリサイクル)も廃棄物・リサイクル対策の一つとしています。
これを受けた自治体では、焼却炉の焼却熱を有効利用した「ごみ発電設備」の設置が積極的に採用されています。
日衛連では、焼却処理される紙おむつが、焼却によって熱や電気に形を変えて有効に再利用されるのも立派なリサイクルの一つと考えています。
 

 
Q. 循環型社会が進む中で、紙おむつはどんな取り組みをしていますか。 一覧へ戻る

  乳児用紙おむつの普及当初(1998年代)は、1枚あたりの重量が60g(統計上)ありました。当時と現在では製品の商品の種類やサイズのバリエーションは大きく異なるものの、現在の乳児用紙おむつ1枚あたりの重量は高分子吸収剤の積極的な使用もあり33g程度と約45%軽量化されています。

また、1枚あたりの包装材料使用量は、統計を開始した2004年度は0.86gでしたが紙おむつの軽量化もあり、現在では0.67gと約22%削減しています。

大人用紙おむつでは、紙おむつ(テープタイプやパンツタイプ)と組み合わせて使うパッドが開発され、パッドのみを交換する使われ方が進みました。このような使われ方の場合、このパッドの重量は紙おむつの約半分の重さなので、パッドを組み合わせて使うことでトータルの大人用紙おむつ重量は約半分程度に削減されています。

このように、循環型社会の中で紙おむつは、軽量化や石油由来素材の減量、組合せ提案の普及活動等により、省資源化に大きく貢献しております。